和紙の歴史

「紙のはじまりはパピルス」、と世界史で習い覚えている方も多いのではないでしょうか。
これは現在の紙とは製造法が違い、多年草のパピルスの繊維を圧着させた原始的なもので「疑似紙」と呼ばれています。
紀元前3000年頃、古代エジプト文明で発明されたパピルス以降、小アジアやインド・東南アジア・ミクロネシア・中米にいたるまでさまざまな原料をもとに「疑似紙」が作られました。

本格的な紙としては、紀元前2世紀頃西漢(中国)の武帝時代に作られた「麻紙」が最古と言われています。植物繊維のセルロース分子同士を、水の働きで結合(水素結合)させたものとして「中国四大発明」 の一つとされています。
それから約300年後、蔡倫(サイリン)が技術革新し、高品質な紙が大量生産されるようになりました。
これにより紙は西方貿易の主要品となり、シルクロードを通り793年にはイラクに、12~13世紀中にヨーロッパに広がりイギリスに伝播したのは1490年のことでした。

日本への紙の渡来は西洋より早く、610年高句麗の僧・曇徴(ドンチョウ)により墨や絵の具とともに伝えられた、と日本書紀に残っています。
また、それより早く4・5世紀には製紙法が伝わっていたという説もあり、大和政権のもとで既に文書記録や戸籍作りが始まっていたとも言われています。
当時の日本は仏教の興隆に力を注いでいた時期でもあり、仏典を写経する紙は瞬く間に全国に広まり、のちに染色や金銀・雲母箔散らしなどの日本独自の装飾技法が数多く開発されることとなりました。

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